概要

筋筋膜疼痛性症候群(非歯原性関連痛)に効く対処方法などについて解説しています。

筋筋膜疼痛性症候群(非歯原性関連痛)に効く対処方法

  • 自己管理療法(Self-Care)

・ストレスのメカニズムや軽減方法を理解すること
・筋肉の指圧マッサージ方法を理解
・顎に負担のかからない食事をとる
・体の骨格筋に負担のかからない姿勢をとる
・歯ぎしり、食い縛り(ブラキシズム)の予防
・痛いところに冷・暖湿布を交互に使う

MPSの積極的自己管理法の効果

・MPS慢性痛の軽減には積極的に自己管理(Self-Care)をした方が有意に成果があった
・積極的に意識して正しい姿勢に変える、運動する、社会活動する、通常の仕事をこなすことが痛みの軽減につながった
・自分のストレスを認識して、ストレスがたまらない行動を積極的にとることが痛みの軽減につながった
・顔面領域の慢性痛を軽減させるには「患者にどんな治療を施した」のかよりも「患者が何をしたか」にかかっている

認識行動療法(Cognitive Behavioral Therapy: CBT)

  • 顔面領域慢性痛では生物社会心理的要因による痛みが含まれる

・考え方、信仰、期待などの「認識」は痛みの感受性や痛みの対処方法のパターンに大きな影響を与えている
・ストレスの認識方法を変えることで痛みを軽減することができる

ストレスの認知方法を向上させることで気持ちを楽にする精神療法で治療効果が実証されている:負の考え方や感情や行動パターンを認識し、それらを実質的に適応可能なパターンに変換させる心理・精神的な疼痛軽減療法

  • CBT成功の3本柱

教育:負の考え方や行動の認識と改善方法を学習
対処能力向上:問題解決方法や気晴らし方法を考案
後戻り防止策:獲得した対処能力を失わないように維持

顎関節痛で認識行動療法(CBT)と自己管理療法を比較した 慢性口腔顔面痛の処置にCBTを導入

Cochrane database of systematic reviews, 2011
Vishal R Aggarwal, Karina Lovell, Sarah Peters, Hanieh Javidi, Amy Joughin, Joanna Goldthorpe

・治療開始後6ヶ月と12ヶ月ではSCMよりCBTをおこなった方が痛みの軽減度合いは有意に高かった
・CBTは病気の認識と解決方法を提示してくれる
・CBTは他の治療と併用しても悪影響はない
・CBTは副作用も侵襲性もないので初回の治療から組み込むべきである