概要

『歯の痛み』について基本的な仕組みの解説をしています。

痛みの定義

一般的に痛みとは

「実際に何らかの組織損傷が起こった時、あるいは組織損傷が起こりそうな時、あるいはそのような損傷の際に起こる、不快な感覚的体験および情動的体験」:国際疼痛学会(IASP:1981)

と定義されています。

例えば、虫歯などの歯の怪我以外にも、不安や恐怖も心の損傷(大脳感覚野の損傷)でも痛みになります。

特に、慢性痛とは、身体に感じる不快体験+精神状態(信仰・対処能力・ムード)+周辺環境の変化(社会状況・生活習慣・期待)などが絡み合い生じた生物社会心理的な痛みです。

歯の痛みはどこから来るの?

歯の痛みは、特に二つに分類されます。

一つは、歯から来る痛み(歯原性)
もう一つは、歯以外から来る痛み(非歯原性)

です。

そして、歯からくる痛みの犯人(神経は)は3つ

①象牙質(温度センサー)
②歯髄(温度センサー)
③歯根膜(圧力センサー)

上記3つのセンサーが起因しています。

痛みを伝える歯の神経

①歯根膜:
主に圧力センサーとしての神経で根の表面に分布。伝達速度は速い

②象牙質:
温度センサー、衝撃センサーの機能があり象牙芽細胞で象牙細管内に入り機械的な刺激に反応。伝達速度が速い(12-30m/s) 、一過性の痛み(刺激が入っているときだけ痛い)。

③歯髄:
温度・衝撃・化学的刺激センサーの役割がある。一般的にいう「歯の神経」で伝達速度は遅い(0.5-2m/s) 。持続的な痛みで、他の場所に痛みを分散させる(関連痛)のが特徴。主な歯痛の発生源で生命力が高い(なかなか死なない)。弱い刺激には反応しない